エジプトへの預言(エレミヤ書46章1~28節)

0 はじめに

エレミヤの働きに関する記述は44章で終わり、45章はエレミヤの書記バルクに対する神の言葉が記され、46章からは「諸国の民」に関する預りますります。諸国の中で、エジプトに対する預言から始まりますが、それはエジプトが旧約聖書の中において特異な位置を占めていることが理由として考えられます。

1 聖書に語られているエジプト

聖書はエジプトについて2つのことを語っています。一つは、エジプトは43~44章でバビロン帝国の脅威から逃げおおせる場所としているということです。それはエジプトが神以上に、ユダの民の心の支えとなっていたことを示唆しています。もう一つは出エジプト記に見るように、神に敵対する勢力の代表としてのエジプトです。徹底的に神の言葉に逆らい続ける頑なエジプト王パロの姿、同時に神の民であるユダヤ人を苦しめる姿が描かれています。

2 神のさばき

神のさばきはユダがより頼み、エジプト自身も誇りとしていた武力(8節)を真正面から打ち砕く形で執行されます。神は「万軍の主」(10節)です。エジプトよりもより頼むべき神の姿としてこの言葉は重要な意味を持ちます。

3 エジプトの敗北

バビロンのネブカデネツァル王との「カルケミシュ」(2節)における戦いにおいて、エジプトは完膚なきまでに叩かれ、この戦い以降、元の勢力を取り戻すことは出来ませんでした。エジプトの敗北は、エジプト自身はもちろん、エジプトを頼りにしていたユダの民にとっても大きな衝撃でした。目に見えるものに寄り頼んでいたユダの民は、エレミヤの預言(43、44章)を悔恨の思いを持って振り返ったことでしょう。

4 過去のクリスチャンの歩みから学ぶこと

私たちは時に神の言葉の前に一人立つことが求められます。先日ミッション東北の役員研修会で山崎龍一先生がKGK(キリスト者学生会)の財務の改善に取り組んだ経験を語られました。給料遅配などが起きる逼迫した状況の中、様々な「即決」のアイデアが出されましたが、山崎先生は聖書的価値観に基づいた「30年先を見据えた」提案をしました。味方はほとんどいなかったけれども、最終的にその方向で取り組むこととなりました。そのおかげで、現在はその当時の2・5倍の規模の安定した財務状況となっています。山崎先生が大切なポイントとして挙げたのは、過去50年分のKGK議事録全てを見直したことです。その中で先輩方の歩みを振り返りながら、分岐点となる出来事や実現しなかったアイデア等を学び、現在の状況に応用したのです。過去のクリスチャンの歩みを学ぶことは私たちの視野を広げ、立ち続けるための励ましと力を与えてくれます。

(2023年10月15日 高橋 拓男 師)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です