わたしについて来なさい（ルカの福音書５章２７～３２節）

０招きのことば

「わたしについて来なさい」。イエス様のおことばです。命令の言葉にも聞こえますが招きのことばと言ってよいでしょう。32節で「わたしが来たのは、…罪人を招いて…」と言っておられます。この招きの言葉に私たちは驚き、イエス様の愛に出会い、希望を与えられます。

１　驚き

イエス様は通りすがりに、「収税所に座っているレビという取税人に目を留められた」(27)。ここから始まります。取税人と言えば、「汚れた者」「罪人」として人々から蔑まれ、嫌われていた人々です。そのような一人の人、レビにイエス様は目を留められました。イエス様は彼の外側ではなく、内側に目を留められたのです。彼の心の中にある深い願いを知ったからこそ、「わたしについて来なさい」と言われたのでしょう。イエス様の目は、目立たない者、押しやられている者に向けられます。そればかりか、その人自身さえ気づいていないかもしれない心の深い願いに向けられます。レビはイエス様の言葉にどんなに驚いたことでしょう。

２．愛

「わたしについて来なさい」とは、つまり「わたしと一緒に歩いて行こう」ということではありませんか。愛です。「するとレビは、すべてを捨てて立ち上がり、イエスに従った」(28)。自分に向けられた愛に気づいた時、人は変わることができます。立ち上がり、新しい一歩を踏み出すことができます。29節のレビを見ると、その心は喜びに溢れています。その心は広く開かれています。イエス様のために盛大なもてなしをし、大勢の人々とともに食卓に着いています。
レビという名前はユダヤ人のありふれた名前だそうです。後に彼の名は、マタイ、「神の賜物」となります。自分の存在もその人生もすべてが「神の賜物」であるということでしょう。彼は神の愛に出会ったのです。

３．希望

目の前で驚くことが起こっているのですが、それを受け入れることができず文句を言っている人々がいます。パリサイ人や律法学者たちです。「なぜあなたがたは、取税人たちや罪人たちと一緒に食べたり飲んだりするのですか」(30)。彼らにイエス様が答えられます。「医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人です。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためです」(31、32)。イエス様の語られることは、何と分かりやすく、温かいのでしょう。ここで言われている「罪人」とは、〔イエスを通して差し出された神の救いにまだ預かっていない人〕のことです。イエス様はそういう一人ひとりを招いてくださるのです。「悔い改め」とは、神のもとに戻ることです。私たちにとって人生とは、神様が与えてくださった愛に生きることです。神様が私をどんなに愛してくださっているかを知って行く旅路です。ところが私たちは神様の愛を見失ってしまいます。それで、焦り、不安になり、心配で、安心して自分を生きることができなくなってしまいます。人にどう思われているかが気になって自分がわからなくなってしまします。一生懸命に何とかしようとしますが、必要なのは神様の愛に戻ることなのです。どうやって戻ることができるのでしょうか。どこにその道があるのでしょうか。「わたしについて来なさい」。道があります。希望はあるのです。
私が今どんなところにいたとしても、イエス様は「わたしについて来なさい」と招いてくださいます。その招きに驚きつつも、イエス様の愛に気づくなら、希望を抱いてもう一度立ち上がることができます。「わたしについて来なさい」。イエス様と共に歩んで行きましょう。
（２０２５年２月１６日　舘脇暁美　師）