私に伝えられた信仰①「聞く」(サムエル記第一3章1節~14節)
0 はじめに
ミッション東北の歩みの中で、「聞く」ということを教えられてきたように思います。旧約聖書においては、「聞く」ということは、特別なメッセージです。申命記6:4に、「聞け、イスラエルよ。」と記され、「聞け」とは、私たちに語られた神の第一の命令であることが分かります。神は、イスラエルの民に、何よりもまず、聞けと命じられるのです。
1 聞くことの難しさ
本日の聖書の箇所は、聞くことがいかに難しいかを語ります。サムエルとエリの姿が対比されています。モーセの時代に、神の言葉はイスラエルに語られましたが、この時代には、神の言葉もまれで幻も示されなかったとあります。それはエリの霊的状態を示唆しているのかもしれません。エリは、三度目にようやく、サムエルに神が語られていることに気づきました。なぜ、エリは神の言葉を聞くことができなかったのでしょう。その背景に、エリの二人の息子が、神の前に不忠実な祭司で、エリは二人を正しく導くことができなかったという事情があったのかもしれません。
2 なぜサムエルが神の言葉を聞くことができたのか
少年サムエルは未熟であったにもかかわらず、なぜ、神の言葉を聞くことができたのでしょう。母ハンナの影響を挙げることができるでしょう。ハンナは、子どもが生まれず、ペニンナからいじめられるという苦しみの中で祈りました。ハンナは、男の子が生まれたなら神におささげしますと祈りましたが、その祈りは、神からの語りかけがあって初めて可能だったのではないでしょうか。ハンナは、「その子をささげなさい。」という神の語りかけを聞き、応答したのではないでしょうか。このハンナが神の言葉を聞く姿勢がサムエルに影響を与えたに違いありません。ハンナもエリも、家庭の大きな問題を抱え、痛みがありました。しかし、ハンナは、その痛みの中で、神の声を聞き続け、エリは、神の声を聞くことをやめてしまっていたのではないでしょうか。
3 サムエルの生涯
サムエルは、この三章から始まり、生涯にわたって神に聞き続けました。サムエルは、自分の師エリの家に下るさばきのメッセージを聞きました。また、サムエル自身が自分の息子の問題で苦しみ、自分が立てたサウル王が神に退けられるという状況に直面しました。しかし、サムエルは、一貫して神の言葉を聞き続けました。モーセに次ぐ預言者サムエルは、「聞く」ことによって形作られました。エリ、サウル、ダビデを通して、聞くことの難しさを知ることができます。サムエルの最も優れた点は、彼がどのような状況の中でも、神に聞き続けたということです。その聞くことがサムエルの成熟につながりました。私たちも、「聞け」と命じられる神の招きを受け取り、聞き続けましょう。
(2021年高橋拓男 師 文責 木田惠嗣 師)