天地創造の神-使徒信条②-(創世記1章1節)

1 使徒信条の構成

使徒信条を分析すると、その構造に、いくつかの特徴を見出すことができます。

①三位一体論的構成

これは、信条の内容を見れば、「我は、・・父なる神・・、そのひとり子・・、・・聖霊を信ず・・」という具合に、内容が、父、子、聖霊なる神を信ずと、三位一体論的な構成になっているのです。教会は、最初「イエスは主です。」という信仰告白からスタートしましたが、異端との戦い、異教徒との出会い、信仰を次世代に伝える営みの中で、私たちの信仰を、短い言葉で端的に言い表す必要が生じ、この使徒信条のような形が生み出されました。教会の初期の歴史は、まず、三位一体という教理を確立するための戦いの歴史であったと振り返ることができます。

②個人的信仰告白

使徒信条は「我は・・信ず」という、個人的な信仰告白の形であるという特徴があります。「私たちは・・信じます」ではなく、「私は・・信じます」と個人的な信仰告白の形を取っています。私たちの教会は、この信条を告白をしますが、それが単なる信仰の知識で終わるのではなく、各個人が、その信じる内容を明確に生きる事に力点を置いて来ました。昔、イギリスに、ジョン・ウェスレーという、18世紀英国の信仰復興運動の中心人物となった英国国教会の司祭がいました。大学生時代に、仲間と「ホーリークラブ」を結成し、聖書や神学を学び、教会の聖餐式を守る事、刑務所や病院を訪問することなどを熱心に行いました。やがて、32歳で、インディアン伝道のために、アメリカに宣教師として渡りますが、彼の頑なな生き方は、人々に受け入れられず、大きな挫折をして、イギリスへ戻る事になるのです。彼は、自分には、使徒信条に代表される、キリスト教の信仰内容についての知識はあるものの、それが自分のものとなっていない事に、衝撃的に気付くのです。やがて、英国に戻ってから、彼は、小さなモラビア派の家庭集会において、彼の信仰告白が、自分自身のものとなる経験をするのです。「我は・・信ず」という信仰告白、それは、決して知識だけで終わるのではなく、私の信仰として他の人々に伝えることができるということが大切なのです。

2 天地創造の神

私たちの信じる神は、二つの種類の神しかありません。第一は、人間が作った神です。人間を作った神ですから、その信仰は人間中心です。人間の欲や、願いの数ほども、神々が生み出されます。第二は、人間を造った神です。天地創造の神とは、人間を造った神様です。神が、天地を創造し、人間をお造りになりましたから、神中心の信仰です。使徒信条は、まず、私たちに天地創造の神を信じると告白させます。この天地創造の神は、

①無から有を創造されるお方です。

神の創造は、完全な美の世界であった。

③罪の問題。その完全に美しい世界に、なぜ、悪が、罪が侵入したか、そこに、この使徒信条の告白が大切な理由があります。

(2021年5月9日 木田惠嗣 師)

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